ドアが好まれるようになった理由としてもう一つ考えられるのは、引き戸には敷居が付き物で、それが玄関の土間床を洗う水をせきとめてしまうから掃除がしにくい、ということである。この敷居の部分にはまた、踏まれて傷ついたりゴミが詰まったりすると戸の滑りが悪くなるという問題もある。もっともこちらは、現代の玄関に一般的なように引き戸の敷居を土間と同じ高さにした場合のことで、実はかつての玄関では、引き戸の敷居は土台のような横架材の上にあって土間より三〜四寸高かった。
(参考)
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そして、そういう時代には「敷居をまたげば七人の敵」とか「どうも敷居が高くて」というような言い回しにも現われているように、敷居は“またぐ”もの、“高さのある”ものであって、間違っても踏みつけられるものではなかった。このように生活習慣と住様式が一致していれば、敷居が傷ついたり、ゴミが詰まったり、というおそれは少なかったのだろうが、そうは言っても、現在、こういう“またぐ”敷居をつくったら、必ずや住み手の不評を招くだろう。
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