建設技術の発展の多くの部分は建設業の外部ではたされた。わが国で特殊に発達した耐震構造をふくむ建築拾造理論、材料試験法、熱・光・音、設計などをふくむ設計技術、河川・ずい道・堰堤・港湾・など土木工事の計画技術・構造技術などのほとんど全部がそうである。いいかえると建設技術の発展に対して建設業はかぎられた寄与しかしなかった。その理由は、1つは施主による工事直営の制度が長くおこなわれてきたこと、請負関係が支配的になってもなおそのなかで直営主義的な関係がのこったこと、さらには請負関係の設計過程が生産主体である建設業から分割していったことだ。
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土木施設は公共的な性格をもち、施主は国以下の公共機関である例が多い。しかも河川・道路・港湾などの工事では直営施工が長くおこなわれた。直営工事では設計から施工まで技術的な決定権と主導権は施主にある。施工手段の施主所有という事実が端的にそれを物語るだろう。たとえば戦前河川・港湾工事用の機械器具類は多く内務省の手で導入され、内務省自らがこれを使った。戦後も河川・道路用機械を建設省、港湾工事用を運輸省、農地改良・開発用を農林省が多量に保有してきている。こういう関係のなかで建設業の存在する余地は、いわゆる切投げによる労務下請か、労務供給いわゆる人夫出し以外にない。事実多くの中小上木工事業あるいはその源泉である土工親方の経営は長くその地位に甘んじてきた。技術は全く施主のものである。
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