人々の居住や経済活動が集中する都市地域には、上下水道をはじめとする「インフラ」の整備が欠かせません。「大草原の小さな家」なら、飲み水は井戸を掘って汲み、トイレは穴を掘って自然浸透式で済むかもしれませんが、都市ではそうはいきません。基本的に一軒一軒でやっていては非効率ですし、また、すぐに公害問題に発展してしまうでしょう。産業革命以降の都市化においては、道路・公園・学校・集合住宅などの都市施設、上下水道・電気・ガスなどのライフラインの供給や、バス・鉄道などの大量輸送機関の整備が、一体で進められてきました。これらの施設・サービスは、程度の差はあれ、いずれも「公共財」としての性質を持っています。「公共財」というのは、例えば広い道路(一般道)のように、(1)誰もが利用できて、(2)利用者の制限ができない、そのような性質を持つ施設(財)やサービス(便益)です。このような性質を完全に備えた「純粋公共財」の例として、「国防」が挙げられます。自衛隊の存在が目本にもたらす安心・安全の国防サービスは、すべての国民が享受していて、一部の人を対象から除外することはできません。このような性質を持つ公共財の供給においては、利用者一人ひとりから料金を取って、独立採算でやることが、多くの場合きわめて困難で非効率になります。また民間市場に任せておいては、個々の利用者から十分な料金が取れないために、供給が不十分になるのです。従って公共財の供給に関しては、費用の全部ないしは一部に税金を充てて、国や公共・公益団体がまとめて供給します。そのうえで、できるだけ多くの人々に、無料ないしは低廉な料金で利用してもらうことによって、資源の効率的な活用が実現します。また多くの都市インフラは、国防サービスのような全国規模の「純粋公共財」ではなく、地域限定的な「準公共財」です。このため都市インフラの供給効率を上げるためには、都市的な土地利用を行なう区域をきちっと区切る必要があります。それによって多くの人々が集まり居住するところに、インフラ整備の資源を集中できるからです。以上が、都市と郊外・田園地帯とを区切る必要が生じる第2の理由です。都市計画に基づく土地利用規制の第1歩は、土地の都市的利用を都市地域に限定することからはじまります。
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