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老人の生活圏をめぐる現状と課題

2011.12.16

老人ホームは、ほとんど「あってはならないもの」と思えたから、オーソドックスに老人ホームの建築計画学的研究をすることは考えられなかった。一般住宅と老人ホームをひとつながりの住まいとしてとらえ直してみたいと思っていた。が、どうとらえればいいのか?まず、老人の住生活や基本的な住要求をつかまなければならない。生活圏が縮小することは老人の住生活の特徴である。〈生活圏〉は考えたいことのひとつだった。また、住生活も住要求も、住居の中だけでは完結しないのだから、地域をとらえなければと欲張ってもいた。

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このようなとらえ方が実際の政策課題になったのは、ごく最近になってからである。町づくりと住宅政策と福祉政策の一体化。各自治体は、地域高齢者住宅計画や地域福祉計画の策定を急いでいる。また、生活圏内の充足を求めることは、近代的な機能分化の計画論によって失われた混在の楽しさと豊かさを求めることにつながっている。そういう視点の端緒がここにあるように思う。「トータルーインスティテューション」という聞き慣れない言葉が、先輩から投げかけられた。トータルーインスティテューションとは、精神医学者ゴフマンによって「大勢の同じような状況に置かれた人間が、社会から一定期間切り離されて一緒に働き、一緒に住んでひとつの管理状況のもとに生活する場所」と定義された概念である。